あなただけを愛したい
先生
.



やっちゃんから渡された合鍵で、鍵を開けて中に入る。



「……ただいま」



やっちゃんもお姉ちゃんもまだ仕事中だから、返事が返ってくるわけがない。


シーンと静まり返った部屋の中に入って、ソファーに腰かけたとたん……



「……ふっ……く…」



堰を切ったように、涙がぽろぽろと溢れてきた。



「…こ…ぉ……っ」



『あなたから別れを切り出して』



嫌だよっ…


無理だよっ…


別れたくないよっ…


ずっと一緒にいたいっ――…



あたしから“別れたい”だなんて、そんなこと、言えないよ。






ずっと電源を切ったままの携帯。


手にするけれど、やっぱり電源を入れることができない。


航……


あたし、どうしたらいいの――…?
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