あなただけを愛したい
このベンチから死角になってるってことは、向こうからも見えないはず。


でもこういうのは、……凄く気まずい。



「あー、俺、彼女いるからこういうの困るんだよね」



わっ、マジ?


もっと気まずい……


このままここにはいられなくて、そーっと立ち上がってこの場を去ろうとした。


その瞬間――


ドンッ……



「イタッ」



告白していた女の子が勢い良く走ってきたから、ぶつかってしまい……


その反動で尻餅をついた。


女の子はそのまま走り去っていったけれど……


待ってよー!


この状況……


あたしが覗いてたって思われてるかも。


おそるおそる、男の子の顔を見ると……


あれ……


見えない。


あっ!



「め、眼鏡!」



ぶつかった拍子に落としちゃったんだ。
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