あなただけを愛したい
「柑那、待てって!」



そう言ってついてきたのは……


予想通り、竜一。


困ったな。


一人になりたいのに。



「マジで、センコーと別れたのかよ?」



痛いところをつく。


当たっているけれど、ストレートには聞かないでほしい。



「おい、柑那!」



そう言いながら、竜一は後ろからあたしの肩をつかんだ。



「関係ないでしょ?」


「あるよっ!」



は?



「おまえ、忘れたのかよ?俺はさ、柑那とヨリを戻したくて、卒業式に高校まで押し掛けたんだぞ?」


「……」



確かにそうは言っていたけれど、あたしにそんな気は一切ないし。



「別れたんなら、俺とやり直そうぜ?今度こそ柑那のことを幸せにするから」



これが三年前の言葉なら、あたしは間違いなく、竜一の胸に飛び込んでいた。


でも今は……
< 325 / 453 >

この作品をシェア

pagetop