あなただけを愛したい
これが三年前ならなぁ。


そしたら、あたしは竜一と付き合ってた。


高校で航と出会っても、好きにはならなかったかもしれない。


想いが通じ合うこともなかった。


こうやって、茜さんが出てきても……


あたしには関係ない話だった。



「竜一って、タイミング悪いよね」


「はぁ?どういう意味だよ?」



竜一は眉間に皺を寄せながら、あたしの顔を覗き込んでくる。



「ふふ、いつか、昇格できるかもね」


「マジッ!?」



こういう風に、感情がすべて顔に出ちゃうとこも、好きだったんだよなぁ。


竜一と過ごす時間が増えて、あの頃の、竜一のことを好きだった頃の、気持ちが、少しずつよみがえってくる。


ほんとに好きだったんだもん。


これからまたゆっくりと、竜一のことを見ていってもいいのかもしれない。
< 332 / 453 >

この作品をシェア

pagetop