あなただけを愛したい
「じゃあさ、……先生のことは?」



トクンッ……



“先生”と言われただけで……


いまだに、胸が高鳴る。


そう簡単には忘れられないよ。



「……今でも、好きだよ。でもどうしようもないし」



いつまでも、想っていてもしょうがない。


早く……


忘れたい――…



「そっか」



咲季は一言そう言ったまま、黙りこくってしまった。


きっと航の中では、あたしはもう生徒になっている。


あたしがそうしてほしいって言ったんだもん。


『先生と生徒だったあの頃に戻ろう』って。


いつまでも想ってるなんて、しつこすぎるよね。


早く忘れなきゃ。



「竜一と付き合っちゃおうかな」


「えっ!?」



咲季がこれでもかってくらいに目を見開いている。
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