あなただけを愛したい
「なんかね、最近ずっと竜一といるからさ、いろいろ思い出しちゃうんだよね」


「何を?」


「付き合ってた頃のこと」



あの頃のように……


ううん、


あの頃よりも、もっと優しい竜一と一緒にいると、幸せだったあの頃を思い出す。


好きだったあの気持ちを思い出すんだ。



「錯覚じゃなくて?」


「錯覚?」


「ほんとの気持ちもちゃんとそこにあるなら、あたしは反対しないよ?でも、ただ単に身近にいる竜一くんに逃げるんだったら、柑那にとって幸せなことだとは思えない」



逃げる?


逃げてるのかな、やっぱり。


だからって、航との未来は望めないんだもん。


あたし、どうすればいいの?
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