あなただけを愛したい
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今日も正門から出ると、竜一が車に寄りかかって待っていた。



「よぉ柑那、乗れよ」


「うん」



いつも通りの会話。


竜一がドアを開けてくれて、そのまま助手席に座った。


竜一も運転席に乗り込んできた。



「柑那、これから遊園地でも行かねぇ?」


「遊園地?」


「ん」



こういうことは珍しい。


確かに、毎日のようにこうやって一緒に過ごしているわけだけれど……


だいたいが、竜一の部屋で過ごしているから。


毎日、DVDを観たり、ゲームで対戦して熱くなったり……


地味に遊んでいることが多かった。


だから……



『遊園地でも行かねぇ?』



いつもと違うことをしようとする竜一に、びっくりしてしまったんだ。
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