あなただけを愛したい
正直、応えに困った。


『彼氏』とは言えないけれど……


『友達』とは、ちょっと違う。


今の竜一は、『彼氏候補』が一番近いのかもしれない。


彼氏に近い友達。


気持ちは追い付けないけれど、こうやって肩を抱き寄せられたり、恋人繋ぎをしたり……


明らかに、友達ではやらないことをやっているんだから。



「彼氏候補」


「ん?」


「彼氏候補が、一番妥当かもしれない」


「マ、ジで?」



あたしの口から出た言葉が、予想外の答えだったのかな?


竜一は、これでもかってくらいに目を見開きながら、固まっている。


いつもは自信満々で、大袈裟に言い過ぎじゃない?ってくらいに、押してくるくせに、いざ『彼氏候補』って聞いたとたんにこの反応……


竜一らしくなくて、面白い。


だからつい笑みがこぼれてしまった。
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