あなただけを愛したい
いつの間にか観覧車は一周していて……


外へ出た。


そして、竜一はまた、恋人繋ぎで手を繋いできた。


こんなふうに流されちゃって、いいのかな……


咲季が言っていたように、あたし、逃げてるのかな。



「次、何行く?」



辺りを見渡しながらそう言った竜一と同じように、あたしもアトラクションに視線を向ける。



そして……


目当てのものを見つけ、それを指差しながら



「あれ行こう!ジェットコー……」



思わず、言葉を止めた……


というより、止まってしまった。


ジェットコースターと一緒に視界に飛び込んできたもの。


あれって……




無意識に、足も止まる。



「柑那?」



そんなあたしを不思議そうに見ていた竜一だけれど……


そのうち、あたしの視線を追いかけ始める。



「は?……何だ、あれ」
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