あなただけを愛したい
あたしの視線の先に見えたもの……


航が、茜さんと子供と笑い合っている姿だった。



その姿を見て、胸が張り裂けそうに痛くなる。


気付いたら、頬が涙で濡れていて……


三人の姿を見ていられなくなった。


無意識に180度方向転換して、歩き始める。


わかっていたことじゃない。


あたしがそうした方がいいって言って、別れを切り出したんじゃない。




でも、どこかで期待していたんだ。


茜さんと一緒になる気はないと言っていた航。


あたしと別れないと言ってくれた航。


いつか、あたしを迎えに来てくれるんだって、どこかで期待していた。


でも――


そんな期待は、もう捨てた方がいいんだ。
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