あなただけを愛したい


「ありがとうございましたー」



その声と共に、観覧車から降りる。


泣いても泣いても、涙は止まることを知らないかのように、溢れ続け……


いつの間にか、観覧車は一周していた。


うつむきながら、外へ出たはいいけれど……


今日はもう、遊園地の気分ではない。


引っ張られるように、竜一に手を引かれているけれど、どこへ向かっているんだろう。


聞く気にも、なれない。



でも……


竜一が向かった先は、あたしの心を読んでいたかのように、出口だった。


そのまま駐車場に向かい、車に乗せられた。



「行きたいところはある?」


「……どこでも……」



あの三人の姿さえ見えなければ、どこでもよかった。
< 348 / 453 >

この作品をシェア

pagetop