あなただけを愛したい
少し歩いたら、夜景が見えてきた。


なんか、航と見に行った夜景を思い出しちゃう。


あれは、付き合い始めた日だった。


あの時は、お姉ちゃんの身代わりとして会っていたことがバレて怒られるんだと思っていたんだ。


でも実際は、航から想いを告げられた。


そんな幸せな場所。



「……」


「ほんとはさ、俺んちに連れていこうと思ってたんだよな」


「えっ」


「今の今まで、迷ってた」



そう言った竜一は、少し寂しそうな表情をしていて……



「じゃあどうして、ここに?」



夜景を真っ直ぐに見ていた竜一だったけれど、ゆっくりとこっちを向いて……



「部屋に二人きりほど危ねーもんはねーよ」


「……っ……」


「俺、自分を抑えられる自信はねーし」
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