あなただけを愛したい
そう言って、また視線を夜景へと戻した。



「だからって、弱味に漬け込むようなことはしたくねーんだ」


「大人になったね」


「はは、確かに。俺って、結構ガキだもんな」



なんて言いながら笑っていたと思っていたら……



「でもさ、俺、本気だから。真剣に柑那のことが好きだから。いつでも俺のものにしたいと思ってる」


「……うん」



正直、竜一の胸に飛び込めたらどんなにいいだろうと思う。


でも、竜一がこんなに真剣に想ってくれているんだから、あたしは中途半端なことはできない。


ちゃんと竜一の想いと向き合えるようになってからじゃないと、その胸に飛び込んじゃダメなんだ。


いつまでも、ただ強引な竜一だと思っていたけれど……


実際は、外見も中身も、凄く男らしくなって……


あたしの方が、まだまだガキのままなんだ。
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