あなただけを愛したい
蓮くんの車に乗せられ、数分で着いた場所は、個室のある小料理屋さん。


蓮くんの向かい側に腰かけた。



「夕食には少し早いけど……」



そう言いながら、蓮くんは慣れたように注文する。


行きつけのお店なのかな。


注文し終わって、店員さんが部屋を出たとたん、蓮くんが口を開いた。



「茜さんが来たんだって?」


「あ、……うん。蓮くんは茜さんのことを知っているの?」


「まあ、兄貴の元カノだからね」



そうだよね。


元カノ、だもんね。


蓮くんは航の弟だし、面識はあるよね。



「で?何を言われたの?」


「……」



『あなたから別れを切り出して』



これは言っちゃってもいいのかな。



「言いたくない?」



蓮くんが心配そうに聞いてくる。
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