あなただけを愛したい
「じゃあ何で、“別れよう”なんて言ったの?」


「……」



やっぱり蓮くんには、ほんとのことを言った方がいいよね。


意を決して口を開いた。



「子供のために父親が必要だと思った。それに、……航も子供に会ったら傍にいたいと思うかもしれないって」



実際、昨日のような笑顔を見てしまったら、やっぱり自分の子は可愛いと思うんだって、悟った。



「それだけ?」



蓮くんがあたしの表情をうかがうように聞いてくる。


なんか蓮くんって、凄く鋭い。


空気を読めるし、あたしの心も読んでるんじゃないかって、どきどきする。


だから、話さなきゃ……って気持ちになってしまった。


あのとき、航に別れを切り出した一番の理由を、ゆっくりと話し始めた。



「茜さんにね、『あなたから別れを切り出して』って言われたの」


「はぁ?マジかよ。……まあでも、あの人ならそう言いかねないな」



蓮くんが溜め息混じりに言った。


こうやって、わかってくれる人がいるって、凄く心強い。
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