あなただけを愛したい
「ほんとは昨日も、柑那ちゃんに会いに来たんだ。昨日のあれは、……彼氏?」



昨日の、あれ?


え?



「男の車に乗って、どこかへ行っちゃったからさ」


「…あ…」



竜一……



「彼氏じゃ、ない」


「なんか、歯切れの悪い言い方だね。もしかして、いい感じの人だったりするの?」



いい感じの、人……


確かに、そうかもしれない。



「否定しないんだ?……もう、兄貴のことは忘れたい?」


「……」



正直、どう応えたらいいのか、わからなかった。



でも目の前に座る蓮くんは、責めるわけでもなく、問い詰めるわけでもなく……


ただ静かに、微笑んでいる。


その表情が、航に凄くそっくりで……


昨日のあの笑顔がパッと浮かんできて……


つい、ほろりと、話してしまった。



「昨日、遊園地で、……航と茜さんと、子供を見たの。凄く、幸せそうだった」



あのときの航の笑顔が、脳裏に焼き付いて離れない。


思い出す度に、胸がズキズキと痛むし、涙も我慢できなくなる。
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