あなただけを愛したい
「ヨリを、戻したんでしょ?」


「……」



蓮くんは、あたしが昨日見てしまった光景を、目を見開きながら聞いていて……



「ごめん、……俺、それは知らねーわ」



と苦笑い。


やっぱり、ヨリを戻したのかな。


もう、ダメなのかもしれないな。


目尻からぽろぽろとこぼれている涙を、人差し指で拭った。



「でも……」



蓮くんは、やさしく微笑みながら、あたしの方へ少し身を乗り出してきた。


そして、何かを言いかけたとたん――



バタンッ!



「柑那っ!」



この個室の襖が大きな音を立てて開かれて、血相を変えた竜一が飛び込んできた。



「竜一!?ど、どうしたのっ!?」



あまりに勢いよく入ってくるから、手にしていたお茶をこぼしてしまった。



「柑那ちゃんっ、大丈夫?火傷してない?」


「あっうん、大丈夫」
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