あなただけを愛したい
「途中で見失ったけど、車種とか覚えてたからさ。……この店の駐車場で見つけて、慌てて中に入ってきたんだよ」



そうだったんだ……


てか、見失ったんなら、よく見つけたよね。



「で?……誰?」


「……航の、弟」


「コウ?……あー、あのセンコー?」


「……うん」



あたし達が、こんな会話を広げている間、蓮くんはただ静かにそれを聞いていた。


竜一は、そんな蓮くんをジッと見てから、不機嫌そうに呟く。



「つかさ、俺、柑那の彼氏候補だから、邪魔しないでくんねー?」


「ちょっ、竜一っ!」



確かに、そう言ったけれど……


それは、蓮くんには言ってほしくないよっ。


航に伝わっちゃったらどうするの!?


……てか、そう思っちゃった時点で……


ほんとは、竜一を彼氏候補だなんて、思えていなかったのかもしれない。
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