あなただけを愛したい
改めて竜一に言われると、現実を突きつけられたように、また胸がズキズキと痛み始めた。


そんなあたしの前で、蓮くんが少し身を乗り出して口を開く。



「昨日のことは、俺もよくわからねーから無責任なことは言えないけどさ。今日は柑那ちゃんにお願いがあって来たんだ」


「お願い？」



ゆっくりと蓮くんを見上げると、そこにはやっぱり、さっきまでと同じやさしい笑みがあって……


痛かった胸が、少し癒された気がした。


そして……


蓮くんの口から飛び出してきた言葉は――



「兄貴のことを、待っててくれないかな？」


「えっ！？」



まったく、予想もしていなかったものだった。



「柑那ちゃん？」



でも正直、言葉に詰まった。


信じられない言葉だとはいえ、そう言ってくれるのはほんとに嬉しいし、あたしだってできることなら航のことを、待ちたい。


でも……


そんな我儘を言ってもいいのかな。
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