あなただけを愛したい
「たかが高校が離れたから、なんだってんだよな。あん時別れたのが、最大の後悔だよ」



確かに、あの時別れなければ、今も一緒にいたかもしれない。


でも今のあたしは、航とのことしか考えられないから、“もしあの時別れなければ…”というのはありえない。


今という現実しか、存在しないんだから。



「俺は、諦めねぇからな」


「え?」


「もう後悔はしたくないんだ。柑那があのセンコーしか見てねぇとしても、望みが少しでもあるうちは、やれるだけのことをやる」



竜一らしい発言だけど。



「もう、彼氏に昇格することはないよ?」


「はっきり言うなぁ」



と竜一は苦笑い。


でも今はもうその気もないのに、期待させちゃいけない。



「今は、彼氏候補という位置も……もう、終わりにしたい。……友達に、戻りたい。でももし、それが無理だって言うなら……」


「無理なら、なんだよ?」


「もう、二人きりでは会わないから」
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