あなただけを愛したい
.



「柑那、今日カラオケに寄っていかない?」



食堂でランチしているときに、咲季が話しかけてきた。



「カラオケ?」


「うん」



カラオケには行きたいけれど……


たぶんいつものパターンなんでしょ?



「誰が来るの?」


「あー、やっぱりそれ聞いちゃう?」



咲季はそう言って苦笑い。



「当たり前でしょ?もう騙されたくないんだもん」



ついこの間、『カラオケに行くぞー!』と盛り上がりながら、学校を出てカラオケへ向かうと、そこにいたのは……


咲季の彼氏、光輝くんと、数人のお友達。


あたしは三人でパーっと騒ぐつもりで行ったのに……


しかも、その中には竜一もいて……


咲季も竜一が来るのをわかっていて、黙っていたみたいで……


あたしが航のことを待ってるのを、知ってるはずなのに……


竜一とは友達として接することにしたって、知ってるはずなのに……


だから、騙されたとしか思えなかった。
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