あなただけを愛したい
「答えなくても、柑那の顔を見てればわかるけどな」


「……」



なんか、こういうときの竜一って苦手だな。


すべてを見透かしていそう。


凄く居心地が悪い。



「今日は帰る」


「は?」


「歌う気分じゃなくなった」



手にしていた本を置いてから、立ち上がる。


咲季の傍まで歩み寄り



「帰るね」



そう言って、そのままカラオケ店を出た。


なんか、凄くテンションが下がった。



「送るよ」



後ろから聞こえてきた声に、『やっぱり来たか』と思いながら首を横に振る。


でも――



「送るから」



そう言った竜一はあたしの腕をつかんで、駐車場へ向かった。


こういう行動も竜一らしいとは思うけれど……


ちょっと強引すぎる。


そのまま助手席に乗せられた。
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