あなただけを愛したい
「柑那、変わったな」


「えっ?」


「いや、再会した時から変わったなぁとは思っていたんだ。でも、……こんな風に先がわからなくても、はっきり『待ってる』と言えるおまえは、カッコイイわ。……俺、完敗」



完敗?


竜一は視線を合わせながら言っているけれど、その表情はどこか悲しげで……


あたしまで泣きそうになる。



「これからはさ、いい友達でいようか」


「友達?」


「ん、お前のことは、諦める。友達に降格でいいよ」



友達に降格?


え、ていうか……



「この間、もう友達に戻るって言ったじゃん」


「あれ?そうだっけ?彼氏候補のままじゃなかったっけ?」



なんて、調子いいことを言う。


でも、わかってる。


竜一だって、ちゃんと“友達”だったって思ってる。


じゃなきゃ、学校帰りのお迎えはまだ続いているはずだから。


それに、さっき泣きそうになっていたあたしを気遣って、こうやって冗談混じりに話してくれているんだ。
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