あなただけを愛したい
航と別れた頃にこの香水もなくなったから、これが手元に来たら、航も戻って来そうな気がする。


って、ちょっぴり図々しいかな。



「それを付けて、先生に会ってきなよ」


「えっ!?」



あまりにもビックリしすぎて、目を見開きながら顔をあげた。



「気付いてないとでも思ってたの?」


「……」



咲季の、あたしの心を読んだような発言に、動揺してしまう。


ていうか、どうして航に会うって思ったんだろう。


……あたし、二人に言ったっけ?


口に出したら叶わないような気がして、咲季と有希には言えずにいたのに。


いつの間にか、ボソッと言っちゃった?



「柑那を見てればわかるよ」



やさしい表情でそう言う咲季は、さらに



「何年親友をやっていると思ってるの?」



と付け加える。
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