あなただけを愛したい
「柑那は柑那らしく、思った通りに行動すればいい。今日、約束してたんじゃないの?先生に、会いに行くつもりなんでしょ?」



何も言わなくてもちゃんとわかってくれる親友。


この温かさに、涙が溢れてきた。



「咲季」



だけど、“約束”という立派なものじゃない。


ただ航との会話の中で、ちらっと出てきただけのもの。



『海って砂浜を歩くだけでも癒されるよね』


『そうだな』


『誕生日に行きたいな』


『誕生日?いつ?』


『7月10日』


『そっか』



綺麗な海を映したテレビ番組を、二人で観ながら交わした会話。


航は覚えてるかな……


覚えていても、あたしと過ごすなんてことは、もうないのかな。


そう思うと、泣きたくなる。


でも、待つって決めたんだ。


航を信じて、待つって……


そう決めたんだ――…
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