あなただけを愛したい
でも、変な緊張は取れた気がする。


もう一度鏡を覗くと、さっきとは別人のあたしがいた。



「よしっ!」



最後に、咲季と有希にもらった香水を付けて、勇気をもらう。


そのまま立ち上がり……


バッグを手にして部屋を出た。



玄関でミュールを履いていると……



「あれ?柑那、どこか行くの?」


「あ」



お母さん。



「えっと、たぶん遅くなる」


「今夜は家で食べるんじゃないの?誕生日でしょ?」


「……友達が祝ってくれるって言うから」


「そう?じゃあ、明日はあけておきなさいよ?」


「うん、行ってきます」



俯いたまま、ドアを開けて外へ出た。


嘘をついたからか、お母さんの顔を見ることができなかった。



お母さん、ごめんなさい。



心の中で謝りながら、目的地へと向かった。
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