あなただけを愛したい
「あ」



見えてきた。


ところどころキラキラしているけれど、凄く映えるブルーが。



電車を降りると、風があたしの鼻に潮の匂いを届けてくれる。


もう、すぐ目の前だって思ったら、自然と駆け出していた。



はぁ……はぁ…



だんだん息も上がって、走れなくなってきた。


体力落ちたなぁ。


元々あったわけじゃないけれど。


それでも、視界いっぱいにその姿を映した時は、


また自然と、走り出していた。



はぁ……はぁ……



体を前屈みに倒して、両手を両膝について、体を支える。



く、くるしいっ。



こんなに走ったのは、いつぶりだろう。


それでも、目の前に広がる海を見ていると、疲れなんて一気に吹っ飛んでしまう。
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