あなただけを愛したい
「やっぱり、綺麗」



ここは、航が初めてあたしを連れてきてくれた海。


あの時は“亜衣”としてだったけど。



海を眺めていると、水面に太陽の光が当たっているから、キラキラと輝いていて、凄く綺麗。


この眩しさに目を閉じた瞬間……


まぶたの裏側に、あの日の光景が映し出された。




大きなシャツを借りて羽織ったこと。


この砂浜を手を繋いで歩いたこと。


大きな石に二人並んで座ったこと。


航が、一生懸命自分のことを話してくれたこと。


すべての行動に、航の温もりを感じた。



今日ここへ来るって約束はしていない。


でも航なら……



『誕生日に海へ行きたいな』



そう言ったあたしの言葉を、ちゃんと聞いていて、それを叶えてくれるような気がするんだ。
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