あなただけを愛したい
なんとか乗れそうなくらいは入っていた。


最後に海を見つめて……



「……んな……かんなっ……」



えっ……


周りをグルリと見る。


誰もいない……


空耳だったのかな?


いくら航に会いたいからって、声まで聞こえちゃうなんて……


かなり、重症だ――…


思わず苦笑する。



そしてまた視線を海に戻し、ふぅーっと息をはいた。





「……柑那っ!」


「えっ!」



今度は、はっきりと聞こえた。


間違いなく、航の声。


キョロキョロと辺りを見渡す。


暗すぎて、どこにいるのかわからない。



「柑那っ!」


「航っ!」



あ……


少し先に人の影が見える。


あれが、航――…?
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