あなただけを愛したい
そういえば……


ひとつ、気になることがあったんだ。



「でも……」


「ん?」


「……」


「柑那?」


「でも航は……」


「ん?」


「子供と、会ったんでしょ?」



あの遊園地で見た笑顔は、忘れようと思っても忘れられないくらいに、脳裏に焼き付いていた。



「遊園地で、楽しそうに笑ってた」



今、子供はテルさんの子で、三人で一緒に暮らしていくと聞いたばかりなのに……


航は、あたしの傍にいるのに……


また、不安が押し寄せてきた。



「柑那も、あそこに、いたのか?」



コクンと頷く。



「あれは、……ほんとに俺の子かどうか確かめたくて、一度だけ会ったんだ。会うだけの予定が、なぜか遊園地へ連れていかれてさ」



子供の手前、嫌な顔はできなかったと、苦笑しながら付け加えた航。



「そう、だったんだ」



だから、あんなに楽しそうに……
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