あなただけを愛したい
「柑那は?」


「えっ?」



突然“柑那は?”と振られても、なんのことだかさっぱりわからない。



「遊園地は、誰と行った?」


「えっ」


「友達?」


「えっと……」


「俺と離れている間、他の男と付き合ったりしなかったのか?」



なんか、凄く問い詰められてない?



「遊園地は……元彼と行った。といっても、付き合ってはないよ。だけど、……蓮くんが来なかったらわからなかったな」



あの頃って、自分が弱っていたせいもあって、竜一に流されそうになっていたから、蓮くんが来てくれてほんとによかったって思う。



「蓮?……蓮が来たのか?」


「えっ、知らなかったの?」



てっきり、蓮くんが航と話した上で来たんだと思っていた。


蓮くんも『兄貴の代わりに来た』って言ってたし。



「蓮は、何で柑那に会いに来たんだ?」



ほんとに知らないんだ?



「“兄貴のことを待っててほしい”って言ってた」



あの言葉であたしは、何があっても、どれだけかかっても、航を待つことにしたんだ。
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