あなただけを愛したい
「まいった」



そう言いながら、航は自分の髪をクシャクシャにかき回してる。



「柑那って、時々すげぇことを言うよな?」


「すげぇこと?」


「ん」



うつむき加減で、口を開いている航の顔を覗き込む。



「真っ直ぐすぎて、どきどきするよ」



うつむいたまま、視線だけを上げた航と目が合う。



ドキンッ――…



男の人は女の子の上目遣いに弱いって言うけれど……


男の人の……航のそれも直視できないほどの威力がある。


それでも、その綺麗な瞳から視線をそらしたくなくて、そのまま見つめていると……


心臓をぎゅーっと掴まれたように、息苦しくなった。


静かなはずのこの空間に、またあたしのどきどきが響き渡る。



「柑那」



トクン……



航の口から静かに放たれたその声は、あまりにも甘く胸がきゅんとなる。


さっきまでのそれとは違いすぎて、どうしていいのかわからない。
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