あなただけを愛したい
おまけ
目を閉じていても、その景色が想像できるくらいに、心地よい波の音が耳に届けられ……
生温いけれど、どこか気持ちのいい風を受けながら……
唇からは、航の温もりが直に伝わってくる。
でも――…
「……こ……ぉ…」
重なった唇のわずかな隙間から、必死に声を出して訴える。
その瞬間、その場所が少し寂しくなりながら、ゆっくり離れていく。
その代わり、おでこ同士をコツンと合わせた。
「柑那」
「航?」
この距離、近すぎて表情がわからない。
「俺、やべぇ……このまま柑那のこと、襲っちまいそうだ」
襲……って、えっ!?
「ダ、ダメだよっ!」
慌てて、航の胸を押して離れた。