あなただけを愛したい
「はは……わかってるよ」



あたしの慌てっぷりが可笑しかったのか、必死に笑いを堪えながら……でも堪えきれていない様子で、そう口にした。



「柑那……俺、腹減った」



あ……


そういえばあたしも食べていない。


ていうか、今何時なんだろう。


バッグの中から携帯を出そうとして……



「あ」


「ん?どうした?」


「携帯忘れてきたんだった」



慌てて出てきたせいで、家に置いてきたらしいということに、海に着いてから気付いた。




「やっぱりな。俺、何度もかけたのに繋がんねぇし」


「えっ!?」


「ほんと、どこか抜けてるよな」


「なっ!」



『違う!』と言いたかったけれど、大事なところで携帯を忘れてるんだから、それを口にはできなかった。
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