あなただけを愛したい
「……」


「……」



結構勇気を振り絞って言ったのに、航からは何も答えがなくて……


凄く不安になる。



「航?」



目の前の胸を軽く押して離れる。


そのまま航を見上げた。


月明かりだけが、辺りを照らす空間に目が慣れてしまっているので、航の表情ははっきりとわかる。


でもこの表情って……


眉間に皺を寄せて、苦笑している。


あたし、変なこと言っちゃったのかな?


胸に小さくズキッと痛みが走り……そのままうつむいた。



「柑那……あんまり困らせないでくれよ」


「えっ」



困らせる……?


何で?あたし、航のことを困らせてるの――…?


何のことを言っているのかがわからず、心の中にはさらに不安が広がっていく。


それと同時に、目の奥が熱くなって、視界が歪んできた。
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