あなただけを愛したい
この日、部活を終えた俺は足早に帰宅した。


そしたら、アパートの前で柑那を発見した。


なんでここにいるんだということよりも先に



「柑那っ！」



と、名前を呼んでいた。


ゆっくりと振り返った柑那が、「航」と呟くのを聞いて、俺の心臓がトクンと音をたてた。


そのあとは、うるさいくらいのドクドクという音に変わった。


柑那に、ただ名前を呼ばれただけで、俺の心臓はこんなにも反応してしまう。


いつの間にか目の前に立っていた柑那の手を握って、そのまま部屋へ入った。


でもその部屋は、昨日怒りに任せて蹴り飛ばしたものがそのままになっているという、なんとも情けないものだった。


当たり前だけれど、柑那は呆然としながらそれを見ていた。


ある程度片付けてから、柑那をソファーに座らせ、俺も隣に腰かけた。


そして、俺は別れる気はないという、強い想いを口にした。
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