あなただけを愛したい
.



それからの俺は、ただ淡々と日々を過ごした。


学校へ行けば授業して、部活して……


不思議なもので、ちゃんと教師はできるんだ。


俺の心は、空っぽなのに――…




そんな時、蓮がアパートを訪ねてきた。


俺の姿を見てかなり驚いていた。


当たり前か……


確かにひどい姿をしているからな。



柑那と別れたこと


茜が来たこと


子供の父親かもしれないこと



すべて話すと、蓮はしばらく考え込んだあと、神妙な面持ちで口を開いた。



「それ、兄貴の子じゃねぇかも」


「は?」



何言ってんだ?


茜とは何度か顔を合わせた程度の関係だっただろ?



「何でおまえにそんなことがわかんだよ」


「別れたあと、俺んとこに来たんだよ」
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