あなただけを愛したい

茜は一瞬目を見開いたあと、視線をそらしながら



「何のこと？」



明らかに動揺しているのがわかる。



「こっち見ろよ！」



ゆっくりと重なった視線。


その瞳は俺の表情をうかがいながらも、泳がせている。


やっぱり蓮の予想、俺の勘は当たっていたんだ。



「ほんとに俺の子なのか？」


「あ、あたり前でしょ！」



必死に言い返しているけれど、その表情には明らかに焦りの色がうかがえる。


見抜けないとでも思っているのか？


一度は好きだった女のことだぞ？


その表情が何を表しているのかくらいは、わかる。



嘘を付いた時のものだ――…


分かりやすいんだよ、おまえは。



「で？相手は誰なんだよ」


「は？ち、ちがうって言ってるでしょ！？」



ほんとのことを言うつもりはないらしい。



「まあいい」



やっぱり蓮に任せるしかなさそうだ。