あなただけを愛したい
でも……


どれだけ考えても答えは出なくて……


いつまでも返事をしないでいたら、電話がかかってきた。



“亜衣ちゃん?”


「……はい」



ほんとは違うって言いたい。


“亜衣”じゃなくて“柑那”だよって。



“返事ないから電話した。日曜は無理?”


「……無理じゃ、ない」



やっぱり、悪魔が顔を出す。


一回だけでいい……


お姉ちゃんの身代わりでもいい……


先生との思い出がほしい……


気付いたら、デートの約束をしていた。






当日は、朝からメイクを頑張った。


この間みたいにやらなきゃ、お姉ちゃんじゃないってバレるかもしれない。


今日はお姉ちゃんになりきって、先生との思い出を作るんだ。
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