あなただけを愛したい
「亜衣ちゃん?」


「……」


「返事がないのは、OKととっていいの?」




……気付いたら……


コクンと……


頷いていた。


嬉しそうに笑う先生を見て、ズキンと胸が痛む。


あたし、最低だ。




そのあとはお互いに無言で、カーステから流れる音楽だけを聴いていた。






「着いたよ」



先生の声に顔を上げると、目の前には真っ青な海が広がっていた。



「わぁ、綺麗」



太陽の光が海に反射して、キラキラと輝いている。



「だろ?亜衣ちゃんに見せたかったんだ」



そう微笑む先生は、ほんとにカッコイイ。


あたしの彼氏だったら良かったのに……



「外歩こうか?」


「はい」



車から降りると、もう11月終わりだからか肌寒い。


無意識に体を縮ませる。
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