あなただけを愛したい
躊躇いながらも、先生の手にあたしの手を重ねた。



ドキドキドキドキ……



心臓が激しく暴れ始めた。


このどきどきは、手から伝わることはないのかな。


そう思うと、さらにどきどきが大きくなった。


十数メートル歩いたところに、大きな石があったから、そこに二人で並んで座った。



「寒くない?」


「はい、大丈夫です」



静かに波の音に耳を傾けながら、海を見つめる。


ほんとに綺麗。


凄く癒される。



「俺さ」



ぼーっと海を眺めていたら、先生が静かに話し始めた。



「高校で数学の教師やってんだ」


「……」



知ってるよ。



「サッカー部の顧問もやってる」



それも、知ってる。
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