あなただけを愛したい
「はい」



とノートを手渡されるのかと思って、手を伸ばしたら……



「違う、ドアを開けて?」


「えっ?」


「だから、ドア」


「あっ、はいっ!」



慌てて、数学準備室のドアを開けた。


水島先生はそのまま中に入って、椎名先生のデスクの上にノートを置いた。



「あれ?」



デスクで何かを書いていた椎名先生が、顔を上げてビックリしてる。


当たり前か。



「あのっ、……ありがとうございました!」



そう言いながら、水島先生に向かって頭を下げた。



「いいよ。……あっ、ピンクちゃん」


「えっ」



ピンクちゃん?


何のこと?
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