あなただけを愛したい
「柑那?家に帰る?」



コクンと頷くと……


お姉ちゃんはあたしの手を引いて、やっちゃんの車に乗せた。



そのあとは……


怖くて……


先生の方を振り返れなかった――…






家に帰って、自分の部屋に入ったとたん……


涙がポロポロと溢れてきた。



その日は結局、夕食も食べず、お風呂にも入らず、ずっと布団の中で泣き続けた。






コンコンッ…



「柑那、入るよ?」



翌朝、お姉ちゃんが朝食をお盆に乗せて入ってきた。


布団から顔を半分だけ出すと……



「ひどい顔だね。せっかくの美人が台無しだよ?」


「美人じゃないもん」


「あはは、柑那はあたしに似てるから、美人なの!」
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