あなただけを愛したい
「それって……、お姉ちゃん、自分で自分のことを美人だって言ってんの?」


「あ、気付いた?」


「普通気付くでしょ」



思わず笑みがこぼれた。



「ふふ、笑えるじゃん」


「……」



あたしを笑わせようとして、あんなこと言ったの?


その優しさに、また目頭が熱くなる。



「ねぇ、柑那。あたしに話してみない?」


「えっ」


「昨日の人と何かあったんでしょ?」



昨日の人?



「柑那、男の人の車から降りてきたじゃん」



お姉ちゃん、見てたの?



「あの人が、柑那の好きな人なの?」


「……」



どうしよう……


だってあたし……


お姉ちゃんにもひどいことしてる。


お姉ちゃんの知らないところで、お姉ちゃんが存在してるんだから。
< 78 / 453 >

この作品をシェア

pagetop