あなただけを愛したい
「俺は、来週試験」


「これからなんだ?」


「そうなんだよ。土原はいいよな、もう終わったんだろ?」



長谷川くんは溜め息混じりに言う。



「うん」


「俺の試験が終わったら、一緒にカラオケでも行かねぇ?」


「いいけど、……彼女に誤解されない?」


「別れたから大丈夫」


「えっ!?」



長谷川くんには、一年くらい付き合っている彼女がいた。


サッカー部のマネージャーだった子らしい。



「何で?」


「他に好きな子ができたから」


「そうなんだ」



人の気持ちって、分からないものだな。



「土原」


「ん?」


「俺と付き合わない?」


「えっ!?」



あまりにも唐突なことで……


もしかしたらからかわれてるのかもと、長谷川くんを見ると、凄く真剣な顔。



本気――…?



「この間の話聞いてさ」



この間?


先生のこと?



「一途で可愛いって、思った」



そんなふうに言われたのは初めてで……


なんか、凄く照れる。
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