あなただけを愛したい
しばらく寝顔を見つめていたけれど、目が覚めた時に俺が視界に入ると、君はきっとパニくる。


だって君は……


俺のことを知らないだろう?



外がうっすら明るくなってきた頃に、俺はリビングへ戻った。


君のことが気になって、結局一睡もできなかった。



朝、リビングに顔を覗かせた君は、予想通りかなり驚いていた。


それでも、君の仕草一つ一つに、俺はどきどきしていた。


朝食を一緒に食べるという夢のような時間を過ごしたあと、君は“帰る”と言った。


このまま終わらせたくなかった俺は、君を引き止め、また会いたいという意志、ずっと君を見ていたという事実を伝えた。


君は困った顔をした。


いや、困った……というより悲しそうな表情だった。
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