愛★ヴォイス
歌もダンスもバラエティもこなし、ルックスも申し分ない、まさに典型的なアイドル声優。
目の前にいる淡いピンクのロリータファッションを決め込んでいる数人の女の子集団も“巧臣”の文字が入った大判うちわを手にしている。
そんな若い女の子集団の脇を抜けて、閑散としている関係者口に向かう。
まだ会場の中に入ることすらままならない参加者からの視線が痛い。
「チケット拝見します」
「こちらにご署名お願いします」
「こちらのステッカーを目立つところに貼ってください」
一通りの手続きを済ませ、エントランスに入ると、そこは関係者やファンからのお祝いの花輪でいっぱいだった。
(そっか、この手があったかー!)
と気付いても後の祭り。
ほぼ無名の新人である桐原さんの花輪は、WEBラジオの放送元である会社からと、劇団時代の知人と思われる方、そして――
(三田さん……!さっすが抜け目ないなぁ)
三田さんが立派な花を送っていた。
こんなお祝いの仕方があったことに思い当たらず、招待されるがまま、手ぶらでのこのことここまでやってきてしまった自分が恨めしい。
肩を落としながらも、チケットに記載された2階席へ向かう。
会場は、女の子たちのけたたましい喧噪と、繰り返し流される大音量のプロモーションビデオとで、異様な熱気に包まれていた。
目の前にいる淡いピンクのロリータファッションを決め込んでいる数人の女の子集団も“巧臣”の文字が入った大判うちわを手にしている。
そんな若い女の子集団の脇を抜けて、閑散としている関係者口に向かう。
まだ会場の中に入ることすらままならない参加者からの視線が痛い。
「チケット拝見します」
「こちらにご署名お願いします」
「こちらのステッカーを目立つところに貼ってください」
一通りの手続きを済ませ、エントランスに入ると、そこは関係者やファンからのお祝いの花輪でいっぱいだった。
(そっか、この手があったかー!)
と気付いても後の祭り。
ほぼ無名の新人である桐原さんの花輪は、WEBラジオの放送元である会社からと、劇団時代の知人と思われる方、そして――
(三田さん……!さっすが抜け目ないなぁ)
三田さんが立派な花を送っていた。
こんなお祝いの仕方があったことに思い当たらず、招待されるがまま、手ぶらでのこのことここまでやってきてしまった自分が恨めしい。
肩を落としながらも、チケットに記載された2階席へ向かう。
会場は、女の子たちのけたたましい喧噪と、繰り返し流される大音量のプロモーションビデオとで、異様な熱気に包まれていた。