愛★ヴォイス
29歳にもなって、通販サイトを駆使して声優CDを大量買いしているなんてことは、もちろん誰一人知らない。
これは私の本当に隠れた趣味だったりする。
「珍しいわね。領収書絡みの内線なんて、いつも取り付く縞もなく切ってるのに」
電話のやり取りを一部始終聞いていたらしい、野中経理部部長は鋭い。
「たまたまですよ、ちょっと手が空いたのでーー」
「あら?じゃあ、今日定時に上がれそう?それじゃ真下も今日の合コンメンバーに入れておくわね」
そう言ってさっさとどこかへ電話を掛けてしまう。
「あの、部長ーー」
「ちょうど先方からも一人追加したいって連絡来てたのよ。相手は弁護士集団よ、せっかくだからあんたも来なさい。……ああ、もしもし?さっきの人数追加だけど、こっちも数合わせ出来たわ。……ええ、じゃあ、よろしく」
ぴっと電話を切って、部長は満面の笑みを浮かべる。
「良かったわね、真下。棚ぼたがあるかもしれないわよ?」
心からの祝福の微笑に、私は一切の抵抗を封じられてしまった。
(……野中部長、本当に私のことを思ってやってくださってるんだろうなぁ……)
定時で仕事を終え、合コンに向けて化粧室で化粧を直しながら、改めて鏡に映る自分を眺める。
170を超える長身に、ジムで鍛えたやや筋肉質の身体、そして少し派手な顔ーーどうみたって、営業なんかでバリバリ働く肉食系女子そのもの。
このルックスのおかげで、経理部という地味な部署に身を置きながらも、今日のような合コンに呼ばれることがとても多かったりする。
(毎回タダ飯にありつけると割り切れればいいんだけど……)
この外見の所為で、毎回あからさまなお持ち帰り狙いの肉食系男子に声を掛けられてしまうのも常だった。
そのたびに何かしら理由をつけて断るのもいい加減申し訳ない気持ちになってくる。
これは私の本当に隠れた趣味だったりする。
「珍しいわね。領収書絡みの内線なんて、いつも取り付く縞もなく切ってるのに」
電話のやり取りを一部始終聞いていたらしい、野中経理部部長は鋭い。
「たまたまですよ、ちょっと手が空いたのでーー」
「あら?じゃあ、今日定時に上がれそう?それじゃ真下も今日の合コンメンバーに入れておくわね」
そう言ってさっさとどこかへ電話を掛けてしまう。
「あの、部長ーー」
「ちょうど先方からも一人追加したいって連絡来てたのよ。相手は弁護士集団よ、せっかくだからあんたも来なさい。……ああ、もしもし?さっきの人数追加だけど、こっちも数合わせ出来たわ。……ええ、じゃあ、よろしく」
ぴっと電話を切って、部長は満面の笑みを浮かべる。
「良かったわね、真下。棚ぼたがあるかもしれないわよ?」
心からの祝福の微笑に、私は一切の抵抗を封じられてしまった。
(……野中部長、本当に私のことを思ってやってくださってるんだろうなぁ……)
定時で仕事を終え、合コンに向けて化粧室で化粧を直しながら、改めて鏡に映る自分を眺める。
170を超える長身に、ジムで鍛えたやや筋肉質の身体、そして少し派手な顔ーーどうみたって、営業なんかでバリバリ働く肉食系女子そのもの。
このルックスのおかげで、経理部という地味な部署に身を置きながらも、今日のような合コンに呼ばれることがとても多かったりする。
(毎回タダ飯にありつけると割り切れればいいんだけど……)
この外見の所為で、毎回あからさまなお持ち帰り狙いの肉食系男子に声を掛けられてしまうのも常だった。
そのたびに何かしら理由をつけて断るのもいい加減申し訳ない気持ちになってくる。