愛★ヴォイス
ワタシノ【覚悟】
それから二週間後に行われた舞台の千秋楽を選んで観に行った。
場所はS区の大通り沿いとあったが、入り口が狭くて見つけるのに苦労してしまった。
劇場というよりライブハウスのイメージに近い。
入り口までの狭くて暗い下り階段の壁には、びっしりとチラシの類が貼られ、一見怪しげな雰囲気に思わず足がすくんだ。
しかしそんな私の横を通過して階段を降りてゆく客層は、思ったより老若男女さまざまで、楽しげに明るく会話する女子大生風の集団を見つけて、思わずその後をついていった。
入る時に
「出演者からの紹介ですか?」
と聞かれてうなずくと
「誰からの紹介ですか?」
と更に質問されて、おずおずと
「…桐原さんです」
と口に出した時にはすこし誇らしかった。
まだまだ全然、彼とは知り合いレベルに過ぎないけれど、なんだか“桐原周也の関係者”っぽい自覚が芽生えた気がしたのだ。
中は倉庫のように薄暗く、椅子も木箱をひっくり返したような粗雑なものだったが、劇場らしくすり鉢状になっていて、更にかなりの人で混雑していることに驚いた。
漏れ聞こえる会話の内容から、そのほとんどが出演者の身内のようで、中には子供連れで来ている団体もいる。
ざわつく場内で何とか空き席を見つけた私は、後方の席で一息ついて入り口で大量に渡されたチラシ群の中から、今日の舞台の説明を引っ張り出した。
(おお~☆載ってる載ってる)
彼は端役と言っていたけれど、今回の舞台では脇役らしく、メインキャストに続いて小さく顔写真も掲載されていた。
期待して他のチラシの出演者もざっと確認したが、残念ながら彼の名前は発見出来なかった。
場所はS区の大通り沿いとあったが、入り口が狭くて見つけるのに苦労してしまった。
劇場というよりライブハウスのイメージに近い。
入り口までの狭くて暗い下り階段の壁には、びっしりとチラシの類が貼られ、一見怪しげな雰囲気に思わず足がすくんだ。
しかしそんな私の横を通過して階段を降りてゆく客層は、思ったより老若男女さまざまで、楽しげに明るく会話する女子大生風の集団を見つけて、思わずその後をついていった。
入る時に
「出演者からの紹介ですか?」
と聞かれてうなずくと
「誰からの紹介ですか?」
と更に質問されて、おずおずと
「…桐原さんです」
と口に出した時にはすこし誇らしかった。
まだまだ全然、彼とは知り合いレベルに過ぎないけれど、なんだか“桐原周也の関係者”っぽい自覚が芽生えた気がしたのだ。
中は倉庫のように薄暗く、椅子も木箱をひっくり返したような粗雑なものだったが、劇場らしくすり鉢状になっていて、更にかなりの人で混雑していることに驚いた。
漏れ聞こえる会話の内容から、そのほとんどが出演者の身内のようで、中には子供連れで来ている団体もいる。
ざわつく場内で何とか空き席を見つけた私は、後方の席で一息ついて入り口で大量に渡されたチラシ群の中から、今日の舞台の説明を引っ張り出した。
(おお~☆載ってる載ってる)
彼は端役と言っていたけれど、今回の舞台では脇役らしく、メインキャストに続いて小さく顔写真も掲載されていた。
期待して他のチラシの出演者もざっと確認したが、残念ながら彼の名前は発見出来なかった。