愛★ヴォイス
週が明けた火曜日ーー午後7時過ぎ。

若者でごった返すS駅近くのファーストフード店の一角に、私は居た。

上下きっちりスーツで、絵に描いたような仕事帰りのOLである私は、場違いのようでかなりいたたまれない。


しかし。


「本当にすみません。こんな形でしかお礼出来なくて」


どんな喧噪の中でも、稟と耳元で響くような美声。

そして。

その美声の持ち主である桐原さんは、くったりしたTシャツにジーンズ、履きつぶしたスニーカーという、相変わらずラフ過ぎる格好で、またも私の向かいで頭を下げている。

そんな桐原さんと私の間に横たわる、2人分のハンバーガーセット。


これからの桐原さんのスケジュールをメールしてくれるだけでいいと、あれから何度もやり取りをしたのだが

(残念ながらメールで)

それにも説明が必要だからついでにと、こうして晩ご飯をご馳走になることになったのだ。


ファーストフードが晩ご飯なんて、学生の時以来……?


「じゃあ、いただきます」

おそるおそるハンバーガーの包みに手を伸ばす。

久しぶりのジャンクフードの味はなんだか新鮮だ。


「で、これからの俺の予定なんですけど」
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